川魚グージョンの天麩羅 [帰国後]
永井荷風がリヨンに滞在していた頃から
リヨン市を流れるソーヌ川上流のリールバルブ(髭の小島)辺りでは
川魚の天麩羅が有名だったようだ。
藤棚に蔽われたる出窓の欄干には、
川魚天麩羅御料理の札を下げ、
・・・「ふらんす物語」休茶屋(新潮文庫)
通り過ぎる居酒屋へはいって、
土地で自慢の川魚グージョンの天麩羅で晩餐をととのえる時、
・・・「ふらんす物語」蛇つかい(新潮文庫)
‘グージョンの天麩羅’とは?
加太宏邦さんが書いた「荷風のリヨン」(『ふらんす物語』を歩く)に
答えが載っている。
・・・グージョンというのは川はぜのこと。
公害に弱い魚で、今はソーヌ川では捕れない。
昔はてんぷら(フリチュール)といえばグージョンだった。
今、ソーヌ河畔のレストランはどこも決まりきったように
「エペルランのてんぷら」をメニューに掲げている。
ただし、エペルランは海の魚。
加太宏邦さんの「荷風のリヨン」は、
リヨンに行かれる方にぜひ読んでいただきたい本です。
2007-07-04 20:29